離婚相談:裁判離婚|借金を隠していた夫と争った末、協議離婚が成立

2016年6月19日

離婚弁護士の相談事例

相談内容:長年、隠れて借金をしていた夫が、離婚の話し合いに応じてくれない

子どもを連れて別居中の30代女性依頼主のAさんは30代の女性です。夫のBさんと離婚したいとして、保田窪法律事務所を尋ねられました。

依頼主のAさんと夫のBさんは数年の恋愛期間を過ごした後、結婚されました。お子さんももうけて幸せな家庭を築いていましたが、ある時、夫Bさんが長年、妻Aさんに隠れて借金をしていたことが発覚しました。しかも夫Bさんの借金は、結婚前にさかのぼる長年のもので、金額も多額なことがわかったのです。

弁護士事務所に来所したきっかけ

妻Aさんは金額の大きさと、これまでずっと騙されてきたことのショックで悩みました。そして夫婦生活に限界を感じたAさんはとうとう離婚を決意。これ以上、夫婦関係を続けていくことは無理だと、お子さんを連れて家を出ました。

しかし別居したものの、夫のBさんは話し合いに応じてくれません。離婚したい旨を伝えているものの、協議のテーブルにすら着いてくれないため、専門家である弁護士のアドバイスを求めて、勤務先に近い当法律事務所に相談にいらっしゃいました。

保田窪法律事務所での対応

田上裕輝代表弁護士田上弁護士は、まずAさんのお話を丁寧に伺うヒアリングから始めました。Aさんのご要望は、Bさんと離婚をしたいこと、子どもの親権を望んでいること、また養育費や生活費の支払いを望んでいることなど、弁護士が法律上、サポートすることが可能なものが多くありました。

田上弁護士は案件を受任すると、まず別居中のAさんの生活費の問題を解決すべく、「婚姻費用の分担請求調停」を起こしました。

たとえ別居中であっても離婚が成立していない以上、法律上は夫婦であることに変わりはありません。そのため夫婦と幼い子どもを含む家族が婚姻生活を送るために必要な費用(婚姻費用)は、応分に負担するよう、別居中の相手に要求できるのです。

田上弁護士は、この「婚姻費用の分担請求調停」を起こした上で、別途、裁判所に夫婦間の離婚を求める調停を並行して起こしました。

弁護士対応の結果

田上弁護士が裁判所に調停を起こした結果、婚姻費用については、Bさんに支払ってもらえる内容で調停が成立しました。しかし、離婚そのものについては調停では合意できなかったため、最終的に訴訟となりました。

夫のBさんは訴訟でも離婚を否定し続けていましたが、控訴審まで争った結果、最終的にはBさんが折れて、離婚するという内容で和解できました。

田上弁護士のコメント

子どもを連れて自宅を出られた妻の側が生活費が無くなり困窮してしまう。しかし離婚どころか話し合いにも応じてもらえず、慰謝料どころか養育費をもらう目処すら立たない。このように生活苦の問題から別居が立ちゆかなくなる事例も増えています。

まずは生活を立て直すために夫側に「婚姻費用(生活費)」の負担を求めました

本件では相手に「婚姻費用」の分担を求め、生活を安定させた上で、調停や裁判を通じて、「離婚」を成立させる二段階の対応を行いました。

本件のようなケースでは、田上弁護士はまずは相手側に「婚姻費用」の分担を求めます。「婚姻費用」とは言わば家庭の生活費のこと。別居中の生活が安定しなければ、裁判を闘うことはできないからです。

子どもの親権や養育費の請求、財産分与の金額などの交渉は、比較的長いスパンで解決していく問題です。そのため短期的には「婚姻費用」の支払いを受けることを目的としました。

「婚姻費用の分担請求調停」により別居中の生活費を確保しました

「婚姻費用」は「夫婦と未成熟の子」という家族が社会的な生活を維持するために必要なお金です。たとえ別居したり、裁判中であったとしても、夫婦である以上、夫も妻も互いに2人の生活レベルが同じになるように支え合う法律上の「生活保持義務」があります。もちろん親である以上、子どもの「扶養義務」も負っています。

本件ではまずは支払われていない生活費=婚姻費用の分担を相手に求めることで、健康で文化的な最低限度の生活をおくるための生活費を確保しました。婚姻費用については、夫婦である以上当然払わなければならないものであり、夫側に支払ってもらうという内容の調停が比較的速やかに成立しました。

生活を安定させた上で調停と訴訟を通じて「離婚」を勝ちとりました

その後、離婚についての調停および裁判の手続きにすすみました。しかし、離婚そのものについては合意できなかったため、最終的に訴訟になりました。夫は訴訟でも離婚を否定し続けていましたが、控訴審まで争った結果、相手も折れて離婚するという内容で和解できました。